『MC-TW3506J』を活用した教員研修
岐阜県教育委員会は2019年度から実施する「岐阜県教育振興基本計画(第3次岐阜県教育ビジョン)」において、「小・中・高等学校一貫したふるさと教育の充実」を掲げ、高等学校においては「探究的な学び」を推進するために、その基盤として全県立学校の普通教室等(1,712箇所)へICT環境整備を実行した。その中で、ICT授業の利活用を進める上で欠かせない大型提示装置として導入されたのが、マクセルの電子黒板機能付きプロジェクター『MC-TW3506J』だ。そこで、同機を採用した決め手やこれまでの活用状況について担当者お二人に聞いた。
岐阜県教育委員会 教育総務課の日比 学管理主事(左)と、同教育財務課の加藤 昌宏課長補佐兼情報基盤管理係長
今回のICT環境整備は、県立高校(63校) と、聾学校(1校)及び高等特別支援学校(2校)の全普通教室及び特別教室の一部と、特別支援学校(17校)のそれぞれ6教室に実施。それぞれの教室に電子黒板機能付きプロジェクター、書画カメラ、指導者用PC、学習者用PC(高校のみ3クラスに5台分)、ホワイトボード、無線LAN環境を単年度で整備する、極めて大規模なものになっている。
教育財務課の加藤氏は「Society 5.0社会に向けて1人1台端末による個に寄り添った教育を見据える中で、それらを共有する大型提示装置等の整備を急ぎたいという思いがありました」と話す。
また、一体型電子黒板でなくプロジェクター型を選んだ理由については、教室に設置するスペースがないことを挙げ、「壁面取付タイプのプロジェクターならその心配がいりませんし、黒板に代わるホワイトボードを投写画面にすることで、インタラクティブペンとマーカーペン両方で板書できるのが利点でした」と指摘する。
そんなプロジェクターの中でも『MC-TW3506J』が選ばれたのは、映像の暗い部分を見やすく補正する機能など高度な映像処理技術が決め手になった。「暗幕なしでも使える3,700ルーメンの高輝度に加え、色がくっきりと再現できるのが長所。それが入札でも評価されたのだと思います」と教育総務課の日比氏。しかも、中央だけでなく四隅までピントが合う鮮明でクリアな映像や、「スイッチャーSB-3J」からプロジェクターの入力切替えや電源オン/オフなどの基本操作ができる便利さも挙げた。
一方、肝心の電子黒板機能では、付属のインタラクティブペンでPCのマウス操作や画面に直接書き込みができるため、教員がそのつどPCに戻って操作する手間がなくなるほか、書画カメラを接続したPCレスでの描画も可能など、授業をする側の使い勝手を考えた機能を装備。日比氏は「罫線、地図、円グラフなどのテンプレートをプロジェクターに内蔵しているので、PCがなくても電子黒板機能を活用できる手軽さがあります」と話し、日々の授業における教員のICT利活用を高める機能として期待する。
さらに、加藤氏も「端末から静止画をワイヤレスで投写できたり、4画面表示が可能だったりと、1人1台環境を想定した有意義な活用も視野に入れられるのでは」と魅力の一端を挙げた。
初期ツールバーから直感的に操作できるのも魅力。
もう1つ、『MC-TW3506J』はシンプルなインターフェースのため、初心者でも直感的に操作できるという長所がある。操作は初期ツールバーから、場面に応じてモードを切り替えるだけなので、ICTに不慣れな教員でも簡単に電子黒板機能を活用することができるのだ。
実際、各校への配備は昨年の6月から順次進めているが、設置時の簡単な操作研修以外は実施していない。それでも、すでに整備前と比べてプロジェクターを活用する先生方が2倍以上になり、16校が公開授業を行い活用について提案するなど確実に成果が上がっている。また、生徒からは「先生が楽しそうに授業をしている」といった声も聞かれているという。
「待ちわびていた教室のICT環境がやっと整いました。先生方には、まずは使ってもらうことをステップに、生徒たちの学びにつなげ、教科の学習目標を達成する活用へと深めていってほしい」と加藤氏。新年度でのさらなる実践に期待した。
(学習情報研究 2020年5月号に掲載)