本文へジャンプ

プロジェクター

東京金魚ワンダーランド2019

求めていたのは鑑賞だけでなく、金魚の身近さやかわいさを体感できる展示。

東京スカイツリータウン®・ソラマチにあるすみだ水族館には、水族館としては日本最大級*の金魚展示エリア「江戸リウム」があります。このエリアでは、夏になると期間限定の特別展示を開催しています。企画広報チーム・担当リーダー恵土敦氏に今年の展示内容に求めていたものを聞くと、「この水族館がある東京の下町では、江戸川区が日本有数の金魚の産地だったこともあり金魚を自宅に飼って親しむ、愛でるという暮らしが定着していて、毎年の特別展示にも多くのお客さまにお越しいただいていました。そうした皆さまの声を聞いていると、金魚をただ鑑賞するだけではなく、金魚すくいのような体感、体験に対するニーズがあると感じていました。とはいえ、水族館の金魚をすくってもらうのは、いきもののストレスや負荷を考えても難しい。そこで、金魚と人との距離感を測り合えるような新たなコンテンツはないかと考えていました」とのことでした。

*水族館(日本動物園水族館協会加盟)の常設展示として日本最大級。すみだ水族館調べ。

プロジェクターの映像で懐かしさと新しさを結び付けるコンテンツを提案。

鑑賞と体験を融合させたいという要望に応えたのは、デジタル技術を生かした映像演出に実績豊富な株式会社ワントゥーテン(以下、ワントゥーテン)。そのコンテンツづくりの経緯は「金魚は多くの方が子どもの頃から身近に感じているいきものですが、それだけにお客さまの第一印象が決まっている一面もあります。その印象を変えなければというのが私たちの課題でした。そうした中で水族館の方たちのお話を聞くうちに、金魚にはきれいでかわいいというイメージとともに懐かしいという感覚を持っている人が多いという考えにたどり着き、『レトロかわいい』というテーマを決めました。また表現手法では、私たちが得意とするインタラクティブな仕掛けを使い、例えば映像の上を歩くと波紋が広がるといった体験によってお客さまに新鮮な驚きを提供できると考えました」とのこと。こうして、懐かしさと新しさをプロジェクターの映像によって結び付けた「東京金魚ワンダーランド2019」が誕生しました。

すみだ水族館 企画広報チーム 担当リーダー 恵土 敦 様 すみだ水族館
企画広報チーム 担当リーダー
恵土 敦 様

UserProfile

すみだ水族館

すみだ水族館
2012年開館。人工海水製造システムによる水槽内の完全人工海水化を、関東で初めて実現。
“近づくと、もっと好きになる。”をキーワードに、お客さま、いきもの、スタッフが、もっと近づける水族館をめざしている。

〒131-0045
東京都墨田区押上一丁目1番2号
東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F

https://www.sumida-aquarium.com/

株式会社ワントゥーテン ロゴ

[取材協力]
株式会社ワントゥーテン
〒600-8411
京都市下京区烏丸通四条下ル
水銀屋町620番地COCON烏丸4階

https://www.1-10.com/

明るさや設置場所など制約が多い水族館内で、リアルな映像を再現。

明るすぎるという展示エリアの課題を高輝度プロジェクターによって克服。 「東京金魚ワンダーランド2019」の現場となる展示エリアには、映像演出を行うにあたって二つの課題がありました。一つは、展示エリアの明るさです。天井にレトロ感を演出するステンドグラスのランプがいくつもつるされているうえ、展示されている金魚の水槽も明るいために投写した映像が不鮮明になってしまうのです。もう一つは、ランプ以外にも多くの装飾物がつるされているので、プロジェクターの設置位置に制約が多いことでした。これらの課題を解決したのが、マクセルのプロジェクターでした。ワントゥーテンによると「決め手となったのは、プロジェクターの輝度の高さでした。その性能に余裕があったことで、現場での調整の余地を残して作業を進められました。また、プロジェクターの設置位置に関しても、豊富なオプションレンズからレンズを選択できたことと、レンズシフト機能を使ってプロジェクターと投写エリアの位置関係をきめ細かく調整できたことで設計の自由度が増し、イメージどおりの演出が可能になりました」。
床面投写用プロジェクター 展示エリアの天井部に設置された
床面投写用プロジェクター
現場で見た映像の鮮明さに驚き。
「上見」と「横見」の二つの鑑賞法を楽しめる映像に。
展示エリアで今回の映像を初めて目にしたときの印象を恵土氏は、「映像の色鮮やかさと精細感に、こんなにきれいに映るものなのかと驚きました。映像のために作ったスペースではなく、既存の展示エリアに映し出しているにもかかわらず、映像のクオリティーは予想をはるかに超えていました」と振り返ります。床面は、4台のプロジェクターから投写された映像をつなぎ合わせた全長約12m、幅約2mの大画面で、泳ぐ金魚を上から見た姿が映し出されます。壁面には、3台のプロジェクターから、それぞれ約90型の映像が3か所に投写されて、横から見た金魚を見ることができます。この二種類の映像について恵土氏は、「まだガラスの水槽が高価だった時代に世に広まった金魚は、もともと鉢やおけなどに入れて上から見るのが伝統的な鑑賞法で、上から見たときに美しい姿や形を求めて改良されてきました。水族館の展示でも、金魚を上から見せるというのは一つのポイントで、展示水槽にも上から見るものと横から見るものがあります。そういった意味で、『上見』と『横見』それぞれの映像からなる今回のコンテンツは、金魚本来の楽しみ方に沿ったものになっています」。
インタラクティブな映像演出 歩くと足もとに波紋が広がる
インタラクティブな映像演出
映像の金魚を手ですくってみるお客さまも。
金魚の魅力を伝えるクオリティーに満足。
こうして開催された「東京金魚ワンダーランド2019」を、来館者はどのように楽しまれたのでしょう。「床に映る金魚をずっと追いかけているお子さまもいて、水槽にいる本物のほうを見てもらえないのではと心配したくらいでした。夢中になって楽しんでいる姿を見ると、それだけでやってよかったと強い手ごたえを感じました。また、これは私たちも予想していなかった楽しみ方ですが、床に投写される金魚を自分の手に映して『つかまえた』と写真に撮っているお客さまもいました」と、恵土氏らの想像を超える反応もあり、全般的に好評だったとのこと。企画の原点にあった「金魚すくいのような体験」も、デジタル技術とプロジェクターの映像によって思わぬ形で実現したようです。その映像に関しても「特に印象に残ったのは、写真写りがとてもよかったことでした。彩度も明度もよく出ていて、Webや雑誌などのメディアで紹介されるときも、周りの照明に負けずにくっきりとコンテンツの様子が写っていました。金魚といういきものは、鮮やかな色合いやふんわりとしたイメージなど、表現力を求められるいきものだと思いますが、そういったところまでお客さまが楽しめるクオリティーで演出できたので、マクセルのプロジェクターには大変満足しています」と感想を語っていました。
壁面の投写エリアに映し出される金魚の映像 壁面の投写エリアに映し出される
「横見」の金魚の映像
今後の展望

これからも、いきものの魅力をより多くの切り口と手法で届けられるように。

デジタル技術は日々進化していて、それを生かした展示手法のバリエーションもまだまだ増えていくと思います。水族館としては、いきものが持っているさまざまな魅力をより多くの切り口からお客さまにお届けしていきたいので、新しい見せ方や深く印象に残る展示を実現できるように、マクセルのプロジェクターの進化に期待しています。

ご活用いただいた機器

*
本記事は2019年8月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
*
会社名および製品名などは、各社の商標または登録商標です。
*
ご導入のお客様ならびに掲載企業への直接のお問い合わせはご遠慮願います。

導入事例ダウンロード